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銀の鳥 序章
-----------------------------とある酒場にて
「おい、あの話聞いたか?」
ほろ酔いの男二人が話している。隣なのでよく聞こえてしまう。こんなところで飲んでいる俺が悪いのだが、正直黙ってほしい。
「なんだよ?あの話って」
話を聞く側の男もほろ酔いのようだ。
「あの人が、とうとう星流しになったらしいぞ」
二人とも、片手にはビールのグラス。星流しとは、中央本部・・・いわゆる、この付近の惑星を全て統治している協会のことだが、
その協会の重役に当てられている人が協会の掟、規律、などを守らなかったことによって科せられる無理難題のことだ。
一般人はただ単に罰金や禁固で済むのだが、協会の人間はそうはいかない。惑星を統治する人間だからこそ、特権も多い。
その反面、罪を犯した場合罪も重くなるのだ。禁固や罰金のほうが全然楽といった課題を科せられてしまう。
受ける受けないは罪人の自由だが、受けなかった場合はそのまま解体されるか、ホルマリン漬けにされるかなので選ぶ選択は実質ない。
「あの人は憧れの男だったんだけどなぁ……なんで星流しなんかに?」
無理難題とは、たとえばある惑星の最重要機密の書類をもってこいだとか、協会の指示を受けない反逆惑星を一人で壊滅させてこいだとか、そういった類のものである。
「なんでも、協会からの任務をちゃんと遂行したのに、星流しになったらしいぜ」
……ビールなんて飲む気にならない。この星にいるのこりわずかな時間なのに、なんでこんなところに来てしまったのだろう。
特にいく当てもなかったので、気付いたらここに来てしまっていただけなのだが。
「はぁ?なんだそりゃ?任務をやったのに星流しって……協会も焼きがまわったかね?」
特にすることもないので、この男達の会話を聞くことした。どうせ俺にはもう関係ないのだ。
「バカ……!そんなこと聞かれたら大変だぞ」
この星で協会の悪口を言うくらいなら、どこぞのヤクザに喧嘩を売る方がまだましなのだ。
「わかってらぁ……聞いてるやつなんかいやしねぇよ」
……完全に酔ってしまっているんだろう。
「あの人って確か第五位の人だったよな?」
協会の人間での実力者は、位がつけられる。五位とは、実質協会で五番目の実力者。
「おう、あの人が犯罪なんてかんがえられねーよなぁ……なにやったんだろ?」
「さぁ……それは明らかじゃないんだよな。そこも不思議だよな」
「だよなぁ、あの人の属性は……無、だったっけ?」
属性……人は誰でも、生まれながらにしてなにかしらの属性を持っている。
火、水、風、土、雷、無、聖、闇、そして全。無と全は似たようなものであるが、無は全に及ばない。
全は、全部の属性をつかさどる。だからこそ最強。しかし、この全の属性をもつ人はこの世で一人だけ。
その星流しになった男は、無であるらしい。……無は無で、全にない特技があるので全てにおいて負けている、
というわけではないということを付け足さなければ。
「身長が185くらいあってさ、白いローブみたいのを付けていて、やったら女から人気がでそうな面してんだろ?」
「俺も直に会ったことないからわからないけど……クール、の一言らしい」
そろそろ帰って仕度をしなければなるまい。
「ま、憧れだったけどしかたないよな。まぁ、がんばってくださいってかんじ」
よほど酔いが回っているのだろうか、二人ともふらふらである。
「期限は二年だろ?二年たっても任務ができない場合は協会からの追っ手に殺されるんだと。せいぜいがんばってほしいよな」
ハハハ、と笑いあっている二人。少し、頭にきた。白いローブを翻し、ダン、と音を立てて席を立った。
「お……おい……あの人って……」
「あ、ああ……こんなところに……いたなんて……」
シルバード・スクランゼ。これが俺の名前。無の属性を持ち、星流しになった者。
今の時間は午後7時。あと5時間後、午前0時には旅立たなければいけない。……自分の故郷へ。
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